クレープとは元来、フランスの「ブルターニュ地方」の郷土料理の一つでした。
ブルターニュ地方は小麦の栽培ができなかったところで、そば粉を使用してつくってパンの代わりとされてきたのです。
そして、その生地の模様から「クレープ」(フランス語では「ちりめん」の意味)と呼ばれるようになりました。また、その模様で「恋のゆくえ」を占ったという話も伝えられています。
そして今、フランスではクレープはパンと呼び各家庭で多く食べられています。面白いエピソードとして、かのアン王女がブルターニュ地方に狩猟に出掛けた際、このクレープを見かけて食したところ、あまりの美味しさに感動し、その後、宮廷料理にとり入れられ、そののち一般人へ普及したと伝えられています。また、クレープはフランスが誇る「9番目の芸術」とも言われており、「クレープなくしてフランスを語れず」と言っても過言ではありません。
クレープには、食事メニューによく使われる「そば粉」を使った「ガレット」と呼ばれるものと、デザートメニューでおなじみの「小麦粉」を使った「クレープ」と呼ばれるものの2種類があります。現在では小麦粉を使ったものが、食事・デザート問わず主流となっていますが、最近では、小麦粉・そば粉などによるメニューの違いはなくなってきています。クレープは、日本において古くからケーキショップやホテルのレストランのメニューのひとつとして存在していましたが、ようやく1970年代半ばすぎに、現在でも数多く見られるフランスの屋台のクレープスタイル(温かいクレープにジャムやチョコレートなどをぬって提供するスタイル)が紹介されるようになりました。